周りを活かすチーム作り
正社員になった私は、再びアルバイトとして働いていた最初のお店に戻ることに。前の店舗でも同じ想いを胸に仕事をしていたが、原点のお店に戻るにあたり、「アルバイト時代に感じたことを、部下には感じさせない。その逆の体験を提供しよう」と改めて心に誓った。
インテリアチームのリーダーとなった私は、チームが働きやすい環境はどういう職場か?を常に意識していた。そこで、まずは日頃から感謝を伝えるようにコミュニケーションを取ることを心がけた。
そしてもう一つ。
インテリアスタッフとして喜びを感じる瞬間は、お客さまに接客し購入ていただく場面だが、そのような機会はできるだけ部下に譲るようにした。
もちろん私自身、接客は好きだったし、「これ買います」という言葉をお客さまから直接聞きたかったが、それをグッとこらえ周りのスタッフが活躍できるようにし、自分は裏方に徹した。
そうした小さな積み重ねが功を奏したのか、みんながイキイキと働いているように私の目には映っていた。インテリア部門の売り上げは全国トップクラスに入るほど絶好調。さらには、店舗ごとの部門別売上を競う社内イベントでも、常に全国上位にランクインしていた。
みんなの働きやすさを改善し続けていたことが、結果としても現れはじめていた。
この売上を競う社内イベントの際も、私自身が直接売ることはせず、契約社員やアルバイトスタッフのみんなが思う存分接客できる環境を作りに徹していた。声がけのタイミングや接客時の話す内容、立ち振る舞いなど、良い点はどんどんフィードバックも行った。
もちろん時には改善した方が良いと指摘することはあったが、それも日頃からの各スタッフとの関係性ができていたこともあって、指摘した後にチームの雰囲気が悪くなるようなことは一切なかった。
当時、ESという言葉が一般的ではなかったと思う。少なくとも私自身は知らなかった。でも今思えば、当時私自身がやっていたことは、まさにES向上に関わることだったのではないかと実感している。
正直に告白すればこんな計算もしていた。頑張っていることを自らアピールするよりも、誰かがそれを言ってくれる方が何倍も影響力が上がると。
だから、人目のないところでの仕事も自ら口にすることはなかった。人が見ていないところでの仕事は、当然誰にも気づかれないことの方が多かったが、稀にそれを見ている人もいる。
その人が「陰で砂子さんが、こんなことをしてくれていたよ」と言ってくれる方が、自分でアピールするより、何倍も良い印象を与えられる。このように影響力を高めるために「他者による証言」を引き出そうとしていたことも、今となっては懐かしい。
