初めてのホームページ作成ちょっと待った! | 会社設立時のホームページ作成や集客の考え方
会社を設立する際、PCや机、ロゴ、名刺、事務所など、さまざまなものを用意しなければと考えますが、通常はその中にホームページも候補に上がると思います。事実、多くの会社ではホームページを設立時に用意していますが、一度立ち止まっていただきたいと思っています。
特に設立初期、自社が提供する商材によっては必ずしもホームページが必要な訳ではないからです。他のツールを使って集客する方が良い場合もあります。この記事では、会社設立時のホームページの考え方や集客について解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
[ 目次 ]
会社設立時におけるホームページについての考え方
新しく会社を立ち上げる際、ホームページの重要性は高いと言われていますが、果たして本当にそうなのでしょうか?もちろん、高いか低いか問われたら、私たちも「高い」とは答えますが、ホームページ一択のような考え方はいささか稚拙のように感じることがあります。
「はっ?Web制作会社が何を言ってるの?」と思われる方もいるかもしれませんね。顧客の目的がホームページを作ることであれば、こんなことは考えず顧客が望む通りホームページを作ればいい訳ですが、本当の目的は売上を上げてビジネスの成果に繋げることのはずです。Web制作会社がこの点に向き合っているかどうかで、考え方がまるっきり変わってきます。
会社設立時はお金が潤沢にある企業はほとんどなく、その多くは限られたお金をやりくりするような状態のはずです。このようなことも踏まえると、深く考えることなく「ホームページを作らなければならない」というのは、いささか危険だと感じています。
とうい前提を踏まえ、設立初期のホームページの役割や作る場合の方法などについて、説明していきます。
そもそもホームページの役割とは?
あなたがお客さんの立場になって考えると理解しやすくなると思います。
例えば、会社設立にあたり、あるサービスの購入を検討しているが、まだ取引がないB to C向け商材を提供する企業があるとします。その際、自社の課題が解決できるのか、もしくは欲求を充足できるのか、検討しているサービスについてより詳しく確認したいはずです。また、どのような会社か会社概要ページなどを確認するでしょう。
この時、もしホームページがなければユーザーは欲しい情報を得ることができません。つまり、ユーザーの要求に答えることができないだけでなく、当然会社としての信用を得ることもできません。この場合、ホームページの役割は極めて大きいと言えます。
一方で、B to C向け商材を購入する場合は、どうでしょうか?スーパーや薬局で何か商品を購入する際、あなたは商品ごとに企業のホームページを確認するでしょうか?恐らくホームページを見ることなく購入するのではないかと思います。
多くの場合、棚に並んでいる商品の中から選ぶだけだと思います。つまり、自宅近くの店舗で買うような最寄り品の場合は、ホームページの役割は低くなります。
このようなことから、基本的にはまず自社のサービスがB to BかB to Cかで判断すると良いでしょう。
ただし、B to Cであったとしても、商材の価格が高くなればなるほど、顧客はB to Bと同じようにじっくり比較検討するため、ホームページの重要度は高くなります。基本的にはto Bかto Cかでまず判断してよいとは思いますが、ひとくくりにto Bだから、to Cだからと分けるのではなく、自社の商材は顧客からどのように選ばれているのか?を考えることが重要です。
こうして自分が顧客の立場に立つと、ホームページの役割が理解しやすくなるのではないでしょうか。
会社設立時に考えられる選択肢
ホームページを用意する場合、もしくは設立当初は優先度が低い場合、どのような選択肢が考えられるか、一緒に見ていきましょう。
選択肢としては、下記のようなことが考えられます。
ホームページを作る場合
- 完全オリジナルデザインで一から作る
- テンプレートを活用し時間・費用を抑えて作る、小規模なものを作る
- 無料作成サイトを利用して自社で作る
ホームページを作らない場合
- SNSやGoogleマイビジネスを活用する
- Amazonやぐるなびなど外部プラットフォームを利用する
- チラシやポスティングをする
このようなことが考えられます。
会社設立時にホームページを作成した方がよいパターン
B to Bのサービスの場合
B to Bの場合はホームページは必須と言えるでしょう。なぜなら、初めて取引を行う際、自社の課題が解決できる商材か?もしくはより良くしたいという欲求を充足させられる商材か?そのサービス内容を確認するのはもちろんのこと、企業情報も購入前に通常は確認するからです。
購入を検討している企業が、仮に自社サイト以外の別のメディアで情報を得たとしても、基本的には公式サイトを訪問するため、最低限の信頼性を確保するためにはホームページを用意する必要があります。
B to Cでも比較検討される買い周り品(単価が高い商品)の場合
では、B to Cであれば不要なのか?というとそんなことはありません。あくまでも提供する商材によって検討する必要があります。
具体的には、スーパーなどで日常的に購入する最寄り品とは異なり、購入まで時間をかけて比較検討する不動産や車、資格取得講座を提供しているスクールなど、買い周り品を提供している場合は、ホームページを作成すべきでしょう。この買い周り品は、基本的に単価が高い傾向がありますので、「単価が高い商材を扱う場合」とも置き換えて良いでしょう。
比較的単価が安い最寄り品であれば、仮に失敗しても大きな損失はなく「次は他の商品を買えば良い」という判断になりますが、単価が高くしかも購入頻度が低い場合はそうもいきません。
このように自社のサービスが比較検討される商材を扱っている場合は、ホームページは必須と言えるでしょう。
広告を出稿して集客する場合
リスティング広告などを使って集客を考えている場合、その受け皿となるホームページを用意する必要があります。
Amazonや楽天など、外部プラットフォームの自社ページを広告の遷移先として設定すること自体は可能ですが、外部プラットフォーム上のためユーザーからすると気に入らなければすぐ他社の商材へページ遷移しやすい状況です。
つまり、せっかく広告を利用して自社ページへ集めても、同じような商材を比較検討しやすい状況のため他社にユーザーが流れ、結果的に広告費を無駄にしてしまう可能性が高くなります。
自社のホームページを作成し誘導すれば、少なくてもそのサイト内においては自社の商材しか閲覧することができないため、外部プラットフォームの場合に比べると、他社サイトへのユーザーの流出を抑えることができます。
会社設立時にホームページを作成しなくても良いと考えるパターン
必ずしもホームページ全てではありません。費用をかけてホームページを作らなくても良いパターンもあると当社では考えています。
Amazonやぐるなびなど外部プラットフォームを活用する
例えば飲食店であれば、食べログやぐるなびなどのポータルサイト(情報が集約されたサイトのこと)が強く、自社のホームページを作成しても、それらのポータルサイトより自社のホームページを上位表示させることは極めて困難です。
自分がユーザーの立場になると理解しやすいと思いますが、飲食店を利用する際、食べログやぐるなびなどのポータルサイトで探し、お店のホームページを確認することはそれほど多くないのではないでしょうか?
このように業種によっては、特に設立当初は無理にホームページを作成するのではなくポータルサイトなど、外部のプラットフォームを使い、経営が安定してきて自社のことをより詳細に訴求したいとなった時にホームページを作成するといった選択肢があります。
飲食店の他にも下記のようなサービスは同じようなことが言えます。
美容室であればホットペッパービューティ、小売であればAmazonや楽天、不動産であればSUUMOやアットホームなどがあります。
ただし、不動産で特に売買の場合は、高額商品となりより慎重に比較検討されるため、自社ホームページが必須となるでしょう。そのため、単純にポータルサイトが充実しているかどうかだけでなく、自社の提供商材が買い周り品かどうかを考慮して最終的に判断する必要があるでしょう。
SNSやGoogleビジネスプロフィールから集客できる
SNSやGoogleマイビジネスは、小規模企業が初期投資を抑えつつ効果的に集客するための強力なツールです。
会社設立前からSNSを開設してファンと交流し、集客の基盤を作れている場合は無理をしてホームページを作る必要はないと言えるでしょう。ターゲットとなる顧客層に向けた情報を発信し、フォロワーと直接コミュニケーションを取ることで、関係性を密にしていくことができます。
Googleビジネスプロフィールの口コミが集客に繋がっている場合も、同様に無理をする必要はないと言えるでしょう。評価が高い口コミが増えることで、特に購入前のユーザーの期待を高めることができます。
会社設立時に無理にホームページを作成する必要がないという前提で2つのパターンをお伝えしましたが、十分に資金がある、もしくはある程度の売上の見込みが立っているのであれば、ホームページは用意した方が良いと考えています。
なぜなら、会社やお店の情報や世界観をより詳細に伝えることで信頼性や好意度を高めることができる、また集客経路を増やすことでさらなる売上向上が期待でいるからです。
また、この後にも触れますが、ホームページで効果を出していくためには時間がかかるため、作るのであれば早めに用意しておく方が有利に働くからです。
費用を抑えたホームページ作成の方法
ここまで会社設立時のホームページの考え方や作成する・しないパターンの考え方の基準をお伝えしてきましたが、ここでは費用を抑えたホームページ作成の方法についてお伝えしておきます。
格安のホームページ制作サービスを利用する
初期費用0円+月額費用数千円、もしくは初期費用数万円で月額費用なしといった格安のホームページ制作を提供しているWeb制作会社に依頼する方法です。
具体的には、ビズサイ、モノレッジ、あきばれホームページなどが挙げられます。その他にも「格安ホームページ」などで検索すると、たくさんのサービスが出てきますので、自社で良さそうなサービスを探すのも良いと思います。
メリット
- 低価格(数万円~)でプロに依頼できる
- テンプレートを活用して短期間で公開可能
デメリット
- 細かい要望に対応してもらえない場合がある
- 基本的には掲載内容は自社で準備する必要がある
格安ホームページの利用について別記事で詳しくご案内していますので、利用を検討している場合は、ぜひ「格安ホームページを利用する前に知っておくべきこと | 安い理由、デメリット、利用を検討して良いケースなどについて詳しく解説」をご覧ください。
クラウドソーシングでフリーランスに依頼する
Lancers、クラウドワークスなどを利用してフリーランスに依頼することも選択肢の一つです。
メリット
- 予算に合わせた柔軟な依頼が可能
- フリーランスに直接依頼することで、コストを抑えつつカスタマイズ性を確保
デメリット
- 急に連絡が取れなくなるといったトラブルの可能性が法人の場合より高い
- クオリティや対応にばらつきがある
無料、もしくは低価格のホームページ作成ツールを利用して自社で作成
具体的にはWix、STUDIO、Jimdo、Googleサイトなど利用する方法です。
メリット
- 初期費用がかからない
- 専門知識が不要で、ドラッグ&ドロップで簡単に作成ができる
デメリット
- 無料プランでは独自ドメインを使えないことが多い
- サービス終了リスクやカスタマイズの制限がある
- 自社でホームページの全ての構成やコンテンツの内容を考える必要がある
実際の作成の作業だけでなく、どのようなページを作成すべきか、各ページにはどのようなコンテンツを用意すべきかなど、作業以外にもやるべきことがありますので、費用がかからない、もしくは低く抑えられるといっても、時間的コストがかかることは頭に入れておく必要があるでしょう。
費用を抑えたホームページだとしても、日々自社のターゲットユーザーに向けて情報を発信し続けることができるよう、更新機能があることは必須ポイントになるでしょう。
この章では費用を抑えたホームページの作成方法をお伝えしましたが、費用を抑えた方法では、制作前の戦略が不十分になることが多く、結果がでるような十分なホームページを作ることは極めて難しいと言わざるを得ないでしょう。ここに私たちのようなWeb制作会社の大きな役割があると考えています。
この記事では設立時の限られた資金をどう使うかを前提にしていますので、費用を抑えたホームページは売上を上げ本格的なホームページをWeb制作会社に作ってもらうまでの、繋ぎのホームページという位置付けで考えるのが良いと当社では考えています。
ホームページ作成前に知っておいてほしいこと
新しいドメインはドメインパワーが弱い
ドメインにはドメインパワーという指標があります。Googleはこのような指標を公式に認めている訳ではありませんが、検索順位において優位性に影響があることはほぼ間違いありません。
ドメインパワーは被リンク数、コンテンツの質や量、ドメインを取得してからの運用年数など、ホームページ全体の評価が考慮されます。新規ドメインは、通常被リンク数が少ない、コンテンツの量が十分でない、運用年数もわずかといったように、検索エンジンからの評価が低いため、ドメインパワーも弱いものです。
そのため、新規ドメインを取得してホームページ立ち上げた場合、当初は目立った成果が出にくいと認識しておくことが重要です。
効果が出るには時間がかかる
ホームページは作っただけで効果が出るわけではありません。検索エンジンにインデックスされ(見つけてもらい登録してもらうこと)評価が高まらなければ、検索結果の上位に表示されることはありません。検索結果で上位に表示されなければ、アクセス数も伸ばすことができません。これは前項で触れたドメインパワーが大きく関係してきます。
検索エンジンからの評価を高めていくには、長期的な視点を持ち、アクセス解析ツールを活用しながら改善を行うなど、ホームページを適切に運用していくことが求められます。
短期間で効果を出すには広告を使用する
もし新しいドメインでホームページを作成し短期間で効果を出したい場合は、Google広告やSNS広告の活用が候補として挙げられます。広告を通じて、ターゲット層に直接アプローチすることが可能となります。ただし、広告を止めればその効果は当然なくなりますので、前項の長期的な視点を持った運用も並行して行うことをおすすめします。
将来の拡大を見据えた計画
格安のサービスを利用したり、無料ツールなどを利用して自社で作成したり、もしくは外部プラットフォームを活用しホームページを作らないで事業をスタートしたとしても、事業が成長し会社の規模が大きくなっていく段階で、ホームページを用意したり新しくフルリニューアルすることは考えておくべきでしょう。
なぜなら、事業が大きくなるにつれて関わる人が増えてくるからです。自社サービスを検討している見込み客、既に購入してくれている顧客、取引先、ホームページを運用するスタッフなど、多くの人がホームページを活用することになりますが、それに耐えうるものへ進化させる必要があるからです。
今回お伝えしていることは、あくまでも会社設立時にフォーカスしていますので、その点を忘れないで欲しいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?会社設立時は必ずしもホームページが必要という訳ではありません。自社の商材がどのようなものか、また自社のターゲットはどのように情報収集しサービスを利用するか、そこを考えることが最初の一歩となるでしょう。
この記事が少しでも会社設立時のホームページ作成だけでなく、集客の考え方のヒントになれば嬉しいです。
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