初めての起業
小規模の会社を同僚と一緒に飛び出した私たちは、2011年4月、Web制作会社を立ち上げた。立ち上げ直前に東日本大震災が発生。「よりによってこんなタイミングでなぜ?」との思いが正直あったが、もう後戻りできない状況だった私たちは前に進むしか選択肢がなかった。
「なぜWeb制作会社?」と思う人も多いだろう。実は人材事業を閉じることになった際、もう一人の同僚はWebサイト制作業務をスタートさせていた。
Web業界は成長期から成熟期へ移行しはじめた時期。私たちが退職するきっかけとなった新しい社長が来る前、「まだ伸びるWebサイト制作をやるべき」と当時の社長に同僚が直談判し、業務をスタートしていたのだった。
とは言え、部署として認められていたわけではなく、一人で細々と始めたような感じだった。
縁がありWebサイト制作を教えていただける知り合いがいたのは幸いだったが、いきなり素人同然の人間が短期間で多くの実績を残せるはずもなく、同僚もWebサイト制作に携わった経験が多少あるとうい状態での起業だった。
一方、私自身はWeb制作に関する知識やスキルといえば、業務時間外で同僚から教えてもらっていた程度で、もちろん実績なんてものはなかった。要は2人合わせたところで、十分な知識や実績を持っていた訳でなく、「完全にハッタリの状態で新たな道を歩みはじめた」というのが正しい。
勢いで飛び出し会社を立ち上げたものの、何か明確な目的があったわけでもないし、顧客の悩みを自分たちであれば解決できるといった自信をもちろん持っていたわけでもなかった。
それでも「良い会社をつくろう」「将来的には多くの仲間を募り強いチームを作ろう」という想いだけは持っていた。ただ、その矢印はすべて自分たちに向いていた。つまり外側にいるお客さんに向いていたなかった。
そんな会社がうまくいくほど世の中甘くない。起業するにあたって用意した資金は、みるみる減っていった。この資金が減り続ける恐怖は、恐らく味わったことのある人にしか分からない。ありきたりな言葉だが本当に恐ろしい。
なんとかそんな状況が少しでも改善するようにと、夜中にアルバイトをして食いつなごうとしても、焼け石に水。資金が底をつき、1年も経たず倒産の危機に陥った。
