異動先店舗でのセクハラ事件
アルバイトから契約社員になったと同時に、私は次なる店舗へと異動になった。だが、その新天地では、いきなり大きなトラブルが待っていた。
ある日、女性スタッフが「店長からセクハラを受けた」と訴え、お店の空気が一変した。
契約社員となり、アルバイトスタッフをまとめていく立場にあった私は、正社員と終電がなくなるまで何度も話し合った(正確には、飲みながら悩み話し合っていた)。
「この件はどう解決していけばよいか?」「どうすればお店が良い方向に向かうか?」20代半ばになっていた私なりに、必死に考え続けた。
結果としては真実が分からないままうやむやとなり、当時どういう結末を迎えたかすら、あまり覚えていない。あれだけ何度も仕事後に話し合いを重ね、大変な思いをしたにも関わらず、だ。
店長が異動になったような気がする...といったようなあやふやな記憶しか残っていないのは、個人的にも不思議でならない。あまりにも大変だったので、私の脳が記憶を強制削除したのかもしれないと半分本気で思っている。
大きな事件が落ち着いて、少し経ってからだったと記憶しているが、徐々に徐々にやる気を失ってしまい、私自身退職寸前まで気持ちが傾いたことがあった。
なぜ、懸命にチーム作りに邁進していたにも関わらず、そのような気持ちになったのか、なぜかは思い出せない。ただ、ひとつだけ記憶に残っているのは「俺ならすぐに正社員になれる」と思っていたこと。この頃、自分の力を過信し、仕事を舐めていたところがあった。
そういった想いは、自然と言動に滲み出ていたはずだ。そんなスタッフを会社としても昇進させるはずがない。私は「なんでこんなにやってるのに評価されないんだ」といった歪んだ感情を勝手に抱いていたのだと思う。
「と思う」と書いたのは、どのような感情を抱き、退職寸前までいったのか、その原因がなぜか思い出せないからだ。
とにかく全てのことに投げやりになっていた。そんな私を救ってくれたのが、当時外部から中途採用で入社してきた上司だった。どんな会話をしたのかは覚えていない。ただ、その人の言葉によって退社寸前のところで踏みとどまった。
踏みとどまり気持ちを切り替えてからは、自分の役割をしっかり果たそうと仕事に邁進した。「上からの評価」ではなく、お店のスタッフがイキイキと働くことができる環境作りに特に力を注いだ。
「アルバイト時代に味わった嫌な思いは、私の部下となるアルバイトスタッフには絶対に同じ思いはさせない」という強い思いが、原動力になっていた。
それからお店も良い雰囲気になっていったが、その過程で少しは貢献できたのではないかと自負している。
ちなみに、気持ちを入れ替えて働きだしてから、すぐ正社員になった。この時、「結果は自分自身が作り出すもと」と痛感したし、人はちゃんと見ているものだと変に感心したことを覚えている。
