ホームページに関わる費用は、「コスト」として見るべきか?「投資」として見るべきか?
ホームページの制作費用や運用にかかる費用を抑えたいと思う一方で、「安ければいいのか?」「安かろう悪かろうで作ったら結局成果がでないのではないか?」と費用についてどのように考えるべきか迷っている経営者や個人事業主の方もいると思います。
あくまでもWeb制作会社である当社目線がベースになりますが、この記事では企業規模〜20名程度の経営者、または個人事業主の方に向けて、ホームページに関わる費用についてどのように考えれば良いか解説していきます。
この記事が絶対的な正解という訳ではなく、違った意見もあると思いますので、あくまでも一つの参考として読み進めていただければと思います。
[ 目次 ]
当社がホームページの制作費や運用費は「投資」と考えるべきとお伝えする理由
最初に結論をお伝えすると、当社ではホームページにおける制作費や運用費は投資として見るべきものと考えています。
なぜなら、ホームページは直接的・間接的にしろ、売上を上げるためのツールだからです。つまり費用をかけたら最低でもその費用を回収する。理想は費用の回収は最低ラインで、かけた以上の大きな売上を上げているためのものであると考えているからです。
ホームページはビジネス成果に結びつけるためのもの
ホームページ上のゴールはクライアントごと、もしくは展開している事業によって異なります。
一番分かりやすいのはECサイトです。ECサイトではゴールが商品やサービスを購入してもらうことで、それがそのまま売上に直結します。しかし、その他多くの場合、間接的に売上に寄与することになります。
特にB to Bの場合は、ホームページ上で契約まで完了することはあまりありません。そのため、ホームページ上のゴールとしては、お問合せや資料請求、セミナー申し込みといったことが、ゴール設定としてすることが多くなります。
採用サイトは応募者を増やすことがゴールとなりますし、アパレル企業の場合は世界観を伝えることが重要で自社のブランディング向上がゴールの場合もあるでしょう。
応募者を増やすことや、自社の世界観を伝えることも、一見売上に直接関係がないように見えます。しかし、突き詰めて考えると結局は自社の売上に寄与するためと言えます。言い換えればビジネス成果に結びつけるためです。
このようにホームページは成果を出すためのツールであり、「今の時代はホームページを持っていることが当たり前だから、自社でもホームページを持っておく」と惰性で用意するものではない、というのが当社のベースとなる考えです。
ホームページ制作の費用を「コスト」と見た場合と「投資」としてみた場合の違い
ホームページの費用には「コスト」と「投資」の2つの見方があります。これはホームページに限ったことではないので、詳しい説明は不要かもしれません。しかし、ここでは敢えてホームページに関わる制作費や運用費をコストとして見た場合と、投資として見た場合について解説していきます。
※この記事では「コスト=事業活動を継続するためにかかる最低限の費用」と定義します
ホームページをコストとして見た場合、「できる限りコストを抑えたい」という意識がより強く働きます。あくまでも肌感覚ではありますが、ホームページに関わる費用については、コストと考える経営者(企業)の方が圧倒的に多いと感じています。
私たち自身も無駄な費用は避けるべきと考えています。そのようなことから、コストを抑えるといった考え方が全て悪いと思っているわけではないですが、この意識が強すぎると、費用を安く抑えることでできる可能性が高くなる反面、本来成果を出すためには必要なページや機能が、不要とみなされる可能性があることも理解しなければなりません。
一方、投資と考えている企業はどうかというと、費用は抑えたい(無駄な費用は一切かけたくない)という意識は持っています。しかし、基本的にビジネスの成果に繋げるためのツールという考えがあるため、必要なものにはお金をかけるという考えがベースにあります。
そのため私たちWeb制作会社側からの提案について、すぐに却下することなく耳を傾けます。その上で検討し、最終的に提案を受け入れるかどうか判断しますので、少なくても費用をコストとして見る企業よりは、成果を出すための必要なパーツを用意できる可能性が高まります。
Web制作会社が提案したことが100%成果が出る保証はありません。また、そもそもクライアントのビジネスのことでなく自社の儲けを優先する制作会社もあるため、もちろん何でもかんでも受け入れる必要はありません。しかし、まず提案に耳を傾けてみる、この姿勢は持っておいて損はないと思います。
このように、成果を出すためには必要と判断したら、「そこにはお金をかける」という思考の有無が、コストと見た場合と投資としてみた場合の明確な違いだと、今までの経験から考えています。
「コスト」として見ていると機会損失になる可能性がある
経費として捉えると、どうしても必要最低限にするといった思考が働きやすくなります。もちろん投資として捉えた場合でも無駄な支払いは避けるべきですが、経費としての意識が強いと、本来必要であるはずのページや機能が省かれる可能性があります。例えば実績(事例)ページやお客様の声ページです。
これらのページは、自社商材を購入してくれる確度が高いユーザーが見てくれるページです。サービス詳細ページで自社(自分)の課題や不安を解消できそうと感じたら、次にユーザーは実際にどのように解決してきたか、本当に自社にとって良い商材かどうか確認しますが、その際に見るページとなります。つまり、購入の後押しコンテンツになります。
そのため、まずはこれらのページを用意することが重要です。さらに実績やお客さまの声は事業が続く限り増やすことができるので、それに伴いページも追加し積み上げていくことが求められます。
ユーザーからしたら、実績やお客さまの声が数ページあるだけよりも、数多くの実績やお客さまの声があった方がさまざまなパターンを確認できます。何より、数が多ければ自社と同じような課題を持っている、もしくは自社と同規模の顧客の実績や声を知れるチャンスが高まります。このようにユーザー視点で考えると、自ずとやるべきことが見えてくると思います。
また、ページを新規作成する際のことについても考えておくことがあります。ページを追加する度にWeb制作会社に依頼するのか、自社で更新できる仕組みを用意するかです。できれば自社で更新できる仕組みがあると良いですよね。
自社で更新できる仕組みを構築することは初期費用は増えますが、ページ追加の度に費用が発生するわけではないため、長い目で見ると費用面でもメリットを享受できます。こうしたページや機能はホームページで成果を出すためには必要なものです。
しかし、いかに安く作るかの意識が強すぎると、こういった成果を出すために必要なページや機能を見落とすことになりかねません。本来であればもっと売上を伸ばせたはずなのに、機会損失をしているとも言えます。ビジネスに貢献するためにホームページを作るはずなのに、これでは本末転倒ですよね。
上記の例では制作費用として初期費用は増えますが、長期的視点で言えば売り上げに繋がりますので、必要な費用と言えます。こうした視点で判断するためには、「投資」の視点を持つことが重要だと、当社では考えています。
ホームページ制作の費用だけでなく運用面においても、投資の考え方は同じ
「ホームページは作って終わりではなく、作ってからがスタート」
同じような言葉は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?まさに当社もこの考え方を大切にしています。
ホームページで成果を上げるには、適切な運用がかかせません。初期費用としてかかる制作費用だけでなく、運用にかかる費用についても同様に経費と投資の視点がありますが、運用においても投資の視点を持つことがポイントになるでしょう。
運用においては費用だけでなく、自社で更新する際の担当者の労力も同じです。担当者の時間をコストと見るか、投資として見るかで、ホームページ運用における時間の配分が大きく変わることでしょう。
ホームページ制作を費用だけで見ない
この記事の趣旨とは少しそれますが、当社はご縁をいただいた企業には「決してお見積りの費用だけで決めないでいただきたい」と伝えています。もちろん費用は意思決定の重要な項目の1つですが、ここでお伝えしているのは、費用の安さだけで依頼先を決めることは避けるべきということです。
自社の課題を解決できそうな良い提案か、また理念やカルチャー、ターゲットユーザーことを理解しようとしているか、今後長い付き合いができそうかどうかなど、自社にとって良いパートナーとなり得るWeb制作会社かどうか、総合的に検討し最終的な判断をしていただきたいと考えています。
なぜなら、多くの失敗を見聞きしてきたからです。費用だけで決めてしまい後々発注先を間違えたことに気づく、といったことは、Web業界では本当によくあるパターンです。実際に当社でも、制作案件では最終的に落選したにも関わらず、クライアントから数ヶ月後に連絡がきて、「制作を依頼した企業と関係が悪くなったので、運用面で助けて欲しい」と連絡をいただいたケースがあります。このような失敗は、ご縁があり当社と関わったお客さまには経験してほしくありません。
ぜひ、費用面だけを見て依頼先を決めることは避けていただきたいと思っています。
そもそも「ホームページ制作の費用が高い(安い)」は何を基準にしているのか?
例えばこの見積りは高い(もしくは安い)といった言葉を聞きます。当たり前ですが、受け取った見積りが200万円だったとして、50万円の見積もりに比べれば高いですし、500万円の見積もりに比べれば安くなります。当然ですよね。
ただし、これには落とし穴があると思っていて、見積もりの条件が同じことが前提となっているかどうかです。ページ数や機能については同じような内容なのか、その辺りが違えば費用が異なるのは当然です。
また、制作会社に成果を出すノウハウがあるかどうかでも費用は変わってきます。このようなことも踏まえ、高い安いといった判断をする必要があります。
Webの知識がない人にとって、細かな見積りの全てを把握することは難しいでしょう。その点は理解しています。ここでは全てを理解してくださいと言いたい訳ではなく、少なくても「前提条件がどうなっているか?」という視点を持ち合わせて見積もりを見て欲しい、そう思っています。
前章でもお伝えしましたが、費用の安さだけで発注先を決めることだけは避けていただきたいと思います。この記事に辿り着いてくれたあなたも何らの縁があると思っています。ですから、この記事をここまで読んでいただけたのであれば、少しでも失敗を避け欲しい。ただただ、そう思っています。
そのためには経費としてみる、の意識を強く持ちすぎないよう気をつけていただければと思います。
ホームページは作って3年から5年、長い場合は10年ほど活用することになります。その間、運用し回収する考えを持つ。経費は出したら返ってこないですが、投資として考え、成果を出し、制作や運用にかけた費用を遥かに上回るメリットを享受し回収する。この考え方が大事になってくるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。無駄な費用は徹底的に省くことは重要ですが、経費としての意識が強すぎると、ホームページで成果を出すための必要なパーツが抜け落ちる可能性がある、といったことが少し理解が進んだのではないでしょうか。
ホームページは自社のビジネスを発展させるツールであるはずなのに、機会損失していたら本末転倒です。ぜひ「投資」としての視点を持ち、Web制作会社など外部パートナーと連携し、より良いホームページに育てていただけたらと思います。
もし少しでも当社のことが気になるようでしたら、お問い合わせフォーム、もしくはお電話(04-2000-8162)よりお気軽にお問い合わせください。
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