サーバーやドメインの管理を自社で行うか、外部委託するか | Web制作会社目線でそれぞれのメリット・デメリットを解説

新規でホームページを作成する、もしくは外部のWeb制作会社に委託して既存サイトをフルリニューアルする際、サーバーやドメインをどうするか？といった判断を迫られる場合がでてきます。具体的にお伝えすると、サーバーやドメインの契約や更新といった管理を直接行うか、もしくはWeb制作会社など外部に委託するか、という判断です。

この記事では、企業規模〜20名程度の経営者やWeb担当者、また個人事業主の方に向けて、サーバーやドメインの管理を自社で行う、もしくは外部に委託する際のそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。読了後は、それぞれメリット・デメリットを理解でき、あとは判断するだけで良いという状態になるでしょう。

ホームページの公開に必須のサーバーとドメイン

ホームページを作成し、多くの人に見てもらおうと公開する際に必ず必要となるのがサーバーとドメインです。サーバーやドメインについて、よく理解していないという方はこのまま読み進めてください、

サーバーやドメインについてはある程度理解しているが、自社で契約すべきか、外部に委託すべきか判断がつかないという場合は、「サーバーとは」「ドメインとは」は読み飛ばし、次の章の「サーバーやドメインの契約はどこで行うのか？また誰が行うのか？」から読み進めていただければと思います。

サーバーとは

ホームページを公開するには、作成したホームページのデータを置く場所が必要となります。その保管場所がサーバーです。サーバーはウェブサイトをインターネット上に公開するためのデータの保管場所であり、サーバー費用はその場所を借りる場所代のようなイメージです。

多くの企業は、サーバーを貸し出すレンタルサーバー会社から、サーバーの一部を間借りすることでホームページを運用しています。一部の企業ではサーバーを一から構築し、バージョンアップやセキュリティー対策も自社で対応しホームページを運用するといった企業もあります。

この記事では多くの会社が利用しているレンタルサーバーを前提に話を進めます。

ドメインとは

ドメインはホームページのURLやメールアドレスに使用されるものです。例えば当社でいえば、spin-thread.co.jpの部分です。世界で唯一無二の証明となり、ホームページではこのhttps://spin-thread.co.jpのURLを見にいく、メールではこのxxx@spin-thread.co.jpにメールを送る、xxx@spin-thread.co.jpからメールを送るといったように、インターネット上の住所のような役割があります。

ドメインには、co.jpの他、comやjpなど、多くの種類があり、その前につく任意の名前と組み合わせて1つのドメインとして取得します。例えば同じ「spin-thread」でも、spin-thread.co.jpとspin-thread.comでは別ドメインとして認識されます。ドメインを取得する際には取得費用がかかります。また年に1度、更新する必要ああり、その際は更新費用が発生します。

サーバーやドメインの契約や更新はどこで行うのか？また誰が行うのか？

サーバーとドメインはそれぞれ別会社と契約することが基本ですが、レンタルサーバー会社がドメインを販売している場合もあり、1つの会社でサーバーとドメインの契約ができる会社もあります。逆もまたしかりで、ドメインを販売している会社が、サーバーを提供していて1つの会社で契約できるというパターンもあります。

サーバーやドメインの契約や更新といった管理は誰が行うのか？については、大きく分けて2つあります。それぞれ解説していきます。

サーバーやドメインを自社で管理する場合のメリット・デメリット

サーバーやドメインを自社で直接契約し、費用の支払いや更新などを全て自社で行います。

メリット

[ 無駄な費用がかからない ]
自社で契約・更新する場合は、サーバーやドメイン管理会社に支払う費用は実費だけになりますので、外部に委託するよりは費用を抑えることができます。

[ コントロール下に置くことができる ]
自社で契約すれば当然ながら他社が関わることがありませんので、全て自社でコントロールできます。コントロールすることができる・できないのメリット・デメリットは、次の外部に委託する章で詳しくはお伝えします。

デメリット

[ 費用の支払いやドメイン更新のし忘れが発生する可能性が高まる ]
外部に委託しても可能性がゼロになるわけではないですが、一般的な会社ではサーバーやドメインについて頻繁に扱うことがないため、日常においてサーバーやドメインのことが忘れ去られ、支払いや更新処理が漏れる可能性があります。

通常、サーバー会社やドメイン会社から更新前には更新のお知らせメールが届きますが、普段からメンテナンスのお知らせやキャンペーンなどさまざまなメールが届くので、またいつものメールだろうと、重要な更新関連のメールを見落とすことがあります。また、サーバーやドメイン会社からのメールをスパムメールと判断してしまって、見落とすといったことも考えられます。

このようなことが原因で費用の支払いや更新作業が漏れる、といったことが起こり得ます。支払いや更新作業が漏れると、ホームページが閲覧できなくなったり、メールが使用できなくなるといったトラブルが発生します。

[ トラブルが発生した際、自社で対応しなければならない ]
例えば、管理画面で設定ミスをしてホームページが閲覧できなくなったなど、何らかのトラブルがあった際、相談できる相手がいないため、自社で全て対応する必要があります。

知識があるスタッフがいれば良いですが、詳しいスタッフがいない場合はかなり慌てることが想定されます。そうなると、慣れているWeb制作会社であれば5分ほどで終わる作業でも、レンタルサーバーやドメイン会社へ連絡したり、状況をいろいろ調べたりといった対応に数時間、場合によっては1日使ってしまうなど、かなりの労力を使う可能性があります。

サーバーやドメインをWeb制作会社など外部に委託して管理する場合のメリット・デメリット

サーバーやドメインの新規の契約や更新をWeb制作会社など外部に委託し、サーバーやドメイン費用の支払いについても代行してもらい、あなたの会社はWeb制作会社に費用を支払います。

メリット

[ 契約や更新などを全て任せることができるので、精神的な負荷がない ]
契約や更新自体は慣れている人からすると、全く難しいことではありませんが、何も分からない人からするととっつきづらく、何よりよく分からないため、精神的に負荷がかかると思われます。そのような余計な心配や不安を抱えることがなく、全てお任せできます。

[ 更新のし忘れの可能性を抑えられる ]
外部に委託しからといって更新のし忘れが100%防げる訳ではありませんが、発生確率を限りなくゼロにすることはできます。なぜなら、複数のクライアントのサーバーやドメインを管理しているため、頻繁に支払いや更新作業を行うことになるので、基本的に支払いや更新のし忘れは発生しません。

[ トラブルが発生した際、相談できる相手がいる ]
レンタルサーバー自体で何かトラブルが発生した際は、外部に委託していても状況を改善することは基本できないですが、それでも状況がどうなっているかは、自社で管理しているよりは早く把握できると思いますし、何より相談や確認できる相手がいる安心感はかなり違うでしょう。

また、契約内容にもよりますが、トラブルが発生した際、委託先のWeb制作会社で対応できるものについてはの一時対応などを行なってもらうことができ、トラブルによる被害を最小限に抑えることができます。

デメリット

[ 自社で管理するより費用が高くなる ]
当然ですが外部に委託する場合は、管理費などの費用が上乗せされるので、自社で管理するよりは費用がかかります。管理費はWeb制作会社によってまちまちなので必ず確認し、その費用が安心感として許容できる額かどうか、検討すると良いでしょう。

[ 委託先とトラブルになった時かなり面倒になる可能性がある ]
外部の委託先と関係が悪くなった時は注意が必要です。例えば、自社管理に切り替える、もしくは新しい委託先に変更しようとした際、次のようなことが発生する可能性があります。

サーバーであれば最新のデータが欲しいと要望を出しても拒否される。ドメインであれば、ドメイン移管（所有者の変更手続き）を依頼しても対応してもらえない。といったことです。

次の章では、Web制作会社である当社の考えをそれぞれの視点でお伝えします。

サーバーやドメインの契約・更新をそれぞれの視点でお伝えします

自社（ホームページ運営側）の視点

ここまで、サーバーやドメインの契約・更新などの管理を自社で行うか、外部に委託するか、それぞれのメリット・デメリットを見てきましたが、これだけを見ると、管理費用の支払いが気にならないようであれば、外部に委託した方が良さそうに思えるかもしれません。

しかし、外部に委託するデメリットの2つ目「委託先とトラブルになった時かなり面倒になる可能性がある」が、自社にとって非常に大きなデメリットになると当社では考えています。先ほどよりもう少し詳しく説明していきます。

サーバーを新しく用意し引っ越ししたいといった場合、最新のデータを委託先からもらう必要がありますが、委託先との関係が悪くなっている場合、なかなかデータをもらうことができない、最悪の場合はデータの送付を拒否されるというトラブルが発生する可能性はゼロではありません。最悪の場合は、ホームページを一から作り直すなんてことにもなりかねません。

これだけでも大変なことですが、ドメインの方がもっと深刻です。自社で管理、もしくは新しい委託先に変更しようとした際、関係が悪くなっていると、ドメイン移管（所有者の変更手続き）に対応してもらえないといったことが考えられます。サーバーも最悪の場合は大変なことではありますが、新たに作り直せるという点では、ドメインよりもまだ良いと考えています。

もしドメインの所有権を渡してもらえないとなると、最悪新しいドメインを取得しなければならない状況になるかもしれません。それは今まで使用していたドメインを利用できなくなることを意味します。こうなると関係が悪くなった委託先に委託し続けるか、もしくは使っていたドメインに見切りをつけるか、どちらか選択をせまられます。

もし見切りをつけなければならないとなると、新しいドメインを取得しそのドメインでホームページを運用することになりますが、そうすると名刺やパンフレットなどのURLも変更しなければなりません。企業によっては看板を変える必要が出てくるかもしれません。

また、影響はホームページだけではありません。メールアドレスも変更しなければならなくなるため、企業規模が大きくスタッフ数が多い程、その影響範囲は非常に大きいものとなります。

委託先と関係が悪くなり、自社の要望に応えてくれないようなトラブルに発展することは滅多に起こることではないですが、このようなリスクを考えると、当社では可能な限り自社で契約・管理することをおすすめしています。

もし「自社だけでは不安」ということであれば、自社で契約・更新などの管理を行ったうえ上で、別途サポートのみを契約し、何かトラブルが発生した際や確認したいことがある際に、すぐに相談できる環境を整えておけば良いと思います。

1点補足すると、一切要望に応えてくれないといったトラブルは滅多にないかもしれないですが、サーバーやドメインの委託だけの話ではなく、更新業務を委託しているといったこともそうですが、何らかの業務をお願いしている委託先と関係が悪化したという話は非常に多いです。実際に当社へのお問い合わせでも非常に多くいただく相談で、実際に他社さんから当社へ委託先を切り替えたクライアントは複数あります。

当社では基本的には直接契約いただくことをご案内していますが、場合によっては委託をお受けする場合があります。幸いなことに、当社では今までクライアントと関係性が悪くなり、当社から委託先を変更するといったケースは一度もありません。

また、万が一クライアントと関係が悪くなり、委託先を当社から変更するとなった場合、クライアントには一切不利益になるようなことはしないと決めているので、もしリスクを理解した上でもサーバーやドメインの管理を委託したいといった場合は、お問い合わせください。

Web制作会社の視点

Web制作会社としては委託を受ければ、管理費などの名目で毎月の売上となるので、基本的には喜んで委託を受けるケースが多いと考えます。とはいえ、理由は違うかもしれませんが、当社と同じようにサーバーやドメインはクライアント自身で契約していただくことを前提としているWeb制作会社もあり、Web制作会社ごとに考えはまちまちとなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。記事の後半では外部に委託するリスクについて詳しく書きましたが、委託が全て悪いとも考えていません。

リスクはありますが、全て対応してもらえる、不要な心配をする必要がない、更新をしそびれてホームページが閲覧できないといったトラブルをかぎりなく減らすなどのメリットももちろんありますので、自社の状況を考慮した上で最終的に判断するとよいでしょう。

この記事がサーバーやドメインの管理について少しでもヒントになれば嬉しいです。

「日々の仕事」ブログでは、ホームページ制作の現場において実際の出来事や気づきなどのお役立ち情報を発信していますので、ぜひ他の「日々の仕事」も合わせてご覧ください。
他の「日々の仕事」はこちら