なぜブログのターゲット設定は重要性なのか?
この記事はホームページへの流入が増えているのに、お問い合わせや資料請求、購入といったホームページにおける最終的な目的であるコンバージョンが増えないなど、ホームページが自社のビジネスに繋がっていないと悩んでいる、Web担当者や小規模企業の経営者の方に向けて書いています。
ホームページへの流入が増えること自体は喜ばしいことです。しかし冷静に考えなければいけないことは、多くのホームページは直接的・間接的といった違いはあるにせよ、自社のビジネスの売上に貢献することが目的のはずだということです。
つまり流入が増えても、ビジネスに貢献していなければ本来の目的を達成しているとは言えず、諸手を挙げて喜べる状況ではありません。もしかすると、ブログなどお役立ち情報を継続して発信したり、常に閲覧するユーザのことを考えページの内容を最新のものに更新しているなど努力し、流入が増えているにも関わらずコンバージョンが増えないといった状況の場合、もしかすると設定しているターゲットがそもそも間違っている可能性があります。
この記事では特にお役立ち情報としてのブログのターゲットの重要性について、失敗例を交え解説していきます。読み終わるとターゲットの重要性と、今後のブログ運営において大切にすべきことが理解できるようになるでしょう。
[ 目次 ]
この記事の前提
ブログを自社サイトとは別ドメインで運用している場合も基本的な考え方は同じですが、ここでは当社のこのブログのようにコーポレートサイトなど自社が運営するサイトの中にブログを組み込んで運用しているサイトを想定しています。
本題に入る前に少し遠回りになりますが、ブログをどの場所で運用すべきか、当社の考えを記しておきたいと思います。
ブログはできれば自社サイト内に設置した方が良い
もしこれからブログを立ち上げる予定で自社サイト内で運用するべきか、外(別ドメイン)で運用すべきか迷われている場合、まずは立ち上げるブログのテーマによって判断すると良いでしょう。
ただし多くの場合、ブログは自社が提供するサービスに関連する内容になると思います。その場合は、自社サイト内に組み込むことをおすすめします。
ブログは自社サイト内に組み込むことをおすすめする理由
ブログのテーマが自社が提供するサービスに関連する場合(当社で言えばWeb制作を中心としたWeb関連がブログのテーマとなります)、ブログを書けば書くほど、サイト全体としてWebについての専門サイトであるという評価を得られるようになるからです。
これはユーザだけでなく、Googleからの評価も同様のことが言えます。そのため別ドメインで運用するのではなく、自社サイト内に組み込み自社サイト全体の評価を高めていく方が良い選択だと言えるでしょう。
「ホームページの流入が増える=お問い合わせが増える」ではない
冒頭にも書きましたが、ホームページの運用担当者にとって自社ホームページへの流入が増えることは嬉しいものです。ホームページをほとんどの企業が持ち集客が難しくなっている現状では、その気持ちは痛いほど理解できます。私たちもその気持ちは同じです。
ただ、立ち止まって冷静にホームページの目的を考えていただきたいのですが、流入を増やすことが最終的な目的ではありません。お問い合わせや資料請求をもらい、営業に繋いで自社サービスを購入してもらうこと、もしくはホームページ上で直接商品を購入してもらうことなど、自社の売上に繋げていくことが本来ホームページを運用する目的のはずです。
そのため常に見るべき点は、自社サイトにおけるコンバージョン(お問い合わせ、資料請求、申し込み、購入)が流入の増加に対して、どのように変化しているか、もしくは変化していないかなどを注意深く見ていく必要があります。
ブログターゲット選定の失敗例
ある実際にあった失敗例(以下A社)を具体的に挙げて説明を進めていきます。ある企業はリニューアルを機にブログに精力的に取り組むようになりました。
ブログの重要性を説明し理解いただいても動かなかったり、動いても途中で挫折して更新が途絶える企業が多い中、A社はブログの重要性を理解し、継続されているだけでも素晴らしいことはまずしっかりとお伝えしておきたいと思います。
A社では当初こそ1ヶ月に1本くらいのペースでしたが、徐々に月3本、月5本とペースがあがりました。そしてブログを書き始めて半年くらい経った時から、目に見えてアクセス数が急に伸びました。Googleアナリティクスで見るとその右肩上がりは一目瞭然でした。
しかしながら、なかなかフォームからのお問い合わせに繋がらないという課題も見えてきました。そこで各記事を調査していくとあることがわかりました。
それはターゲットがずれていたのです。ここからは当社に置き換えてお伝えします。当社の場合、ホームページを見ていただきたい方はWeb担当者や小規模の経営者といった方々です。そしてそういった方の課題や背景としては、例えば下記のようなものが挙げられます。
- そろそろリニューアルを考えているが良さそうなWeb制作会社はないか
- 新しく会社を立ち上げることになりホームページを作りたい
- リニューアルしたけれどお問い合わせに繋がらない、何を改善していけば良いか分からない
- 今のWeb制作会社に不満があるから、他の制作会社に管理を変更したい
- 更新したい箇所があるが自社ではできないから、どこか丁寧に対応してくれるWeb制作会社を探している
このようにホームページを作る、もしくは更新したいと考えている方に来ていただけると、お問い合わせに繋がりやすくなり、結果として仕事の受注に繋がります。
このようなユーザの方に訪問してもらうために大事なことが、ブログで発信する内容です。当社であればWeb担当者や小規模の経営者といったターゲットの方々の課題や背景を理解し、その課題を「あっ、そうそう!」と明確にするきっかけをつくり、そして自社で解決できることを伝えることになります。
ブログのターゲットがずれていると起こること
しかし、A社はターゲットの設定がズレていました。再度当社に置き換えますがWeb制作会社としてWeb技術にフォーカスしたブログを発信しつづけていたのです。当社のターゲットであるWeb担当者や小規模の経営者の方にとって、技術には興味はないはずで、ホームページを通りていかに新規の見込み客を見つけられるか、仕事に繋げれれるか、売上に貢献させることができるか、そういったことを考えています。
Webの技術についてのブログの発信でアクセス数が増えていたのは事実ですが、自社のターゲットとなるユーザがアクセスしていたのではなく、同業界の技術者が主にアクセスしていたのです。それではお問い合わせには繋がらないことは想像できますよね。そもそも誰に対して発信するブログなのか?といった設定が間違っていたのです。
ただ、これだけで完全に間違っているとは決めつけられません。例えば業界の最新技術に関する質の高いブログを発信することで、業界での認知度があがり新規の仕事を獲得するといったことも長期的には起こる可能性は否定できませんし、外注先として利用してくださいといった営業を受けることもあります。もしくは技術者が入社したいといった採用に関する問い合わせが来ることもあります。
もしそのように意図的にやっているなら、技術にフォーカスしたブログは成功していると言えます。要は誰に向けたブログなのかということを明確に定義し、そのターゲットの方々がアクセスしてくれていれば成功と言えるでしょう。
あくまでもここまで書いてきたのは、できるだけ最短距離で新規の仕事に繋がり売り上げを増やしていくことを前提として書いていて、そういった場合は技術的な内容は的を外しているということです。
ホームページからの流入があるが、お問い合わせに繋がらない当社の具体例
実は当社にもそのような経験があります。ある時急にホームページからの流入が増え、いろいろ調べていくうちに「ユニクロのセルフレジを試してみた」という記事からの流入が増えていることがわかりました。さらに調べていくと「ユニクロ セルフレジ」というキーワードで5位前後(2019年7月頃)に位置していたのです。
当社のブログは仕事以外のカテゴリで、少しでも当社の考えや雰囲気、カルチャーに触れてていただきたく「社長日記」というカテゴリを作り、代表の砂子が日々感じること・体験したことなどを発信しています。
その「社長日記」でセルフレジがまだ珍しいと感じていたころに体験した、ユニクロさんのレジについて書いた記事で、特にターゲットなどは気にせず書いたものでした。
この時、圧倒的に流入数を稼いでくれる記事だったのですが、「ユニクロ セルフレジ」といったキーワードで検索して流入してきたユーザはホームページの制作などが目的なはずはなく、アクセス数は伸びても当然ながら問い合わせには全く繋がりませんでした。
このように見てみると、「ホームページの流入が増える=お問い合わせが増える」ではないということがより理解できるのではないでしょうか。
ある醤油メーカーのバズりツイート
もう一つ実例を見てみましょう。下記はやすもと醤油さんという島根県にある醤油メーカーさんの実際のツイートです。
これを初めて見た時は私も笑ってしまったのですが、いいねが17.3万、リツイートが3.8万から分かるようにとんでもないバズり方をしました。そしてフォロワーも一気に数万まで膨れ上がったのを覚えています。
当時すでにECサイトを持たれていて発注が大変なことになり、製造が追いつかないといったツイートもあったことから、このツイートをきっかけにECサイトへの流入が爆発的に増え、売り上げを大きく伸ばした例です。
ただし、ここで冷静にならないといけないのは、やすもと醤油さんの商品は一般消費者向けだったことです。またそこまで高額の商品ではなかったことが、バズりツイートが直接的に大きく売上に貢献したのでは?と考える必要があります。
面白い企業がある→ECサイト覗いてみよう→せっかくなら買ってみよう、といった軽い気持ちで購入する方が、かなりの数いたと思われます。
これが一般消費者向けでも車や家などの高額なものであれば、ツイートがバズったとしても売上に繋がるか?と考えるとの結果はまた違ったでしょうし、企業向けの商品やサービスについても全く結果は違ったものになったでしょう。
特に企業向けの商品やサービスを提供している場合、何か課題がありそれを解決できるかどうかが購買の判断基準になるため、SNS等で面白い投稿があったからといって「試しに購入してみようか」とはならないはずです。
もし当社のようなWeb制作会社がツイートでバズっても、それがそのまま問い合わせに繋がるか?というと基本的にはそのようなことはないと言えます。
例に出したやすもと醤油さんではバズりツイートが売上に貢献しましたが、かならずしも「バズる=売上が上がる」は全ての企業にとって当てはまることではないので、バズりを狙うのではなく、あくまでも自社サービスのターゲットとなる方々にとって役に立つ情報を提供することを軸にすることが重要です。
流入があるがお問い合わせに繋がらない記事の活かし方
ではお問い合わせには繋がらないが、流入を稼いでくれるブログ記事があった場合どのようにすれば良いのでしょうか。自社ターゲットには当てはまらないからといって削除するというのは勿体無いので、記事の中もしくは最後に少しでも関連する他のブログ記事へ誘導したり、自社のことを知ってもらうように少し無理矢理でもサービスや会社概要へ遷移してもらえるようリンクを設置するのが良いでしょう。
とはいっても、一般的にブログは直帰率(他ページに遷移することなくそのまま離脱する)が高いので、自社のサービスとは一切関係ないようなキーワードで流入してきたユーザを引き止めるのは至難の業です。
また、導線を追加したからといって全てのユーザが意図通り遷移してくれるかと言えば、そんなことはあり得ません。そのようなことから、離脱するユーザを一人でも減らし自社のことを少しでも知ってもらえたらラッキーくらいで捉えていけば良いと思います。
ここまでターゲットの重要性について書いてきましたが、ここからは実際に自社のターゲットはどのように設定すれば良いかについて触れていきたいと思います
自社のターゲットはどんなユーザ?
新しく事業を興す場合を除き、難しく考える必要はありません。既に商品やサービスを提供してきているのであれば、実際にサービスを購入してくれた企業や個人の方々がいるはずです。
そして実際に購入してくれたお客さまの中から実際に存在する人をイメージします。相手が企業の場合は購買担当者など、実際に自社サイトを訪問するであろう個人をターゲットとして想定すると良いでしょう。
相手企業が大きくなればなるほど、経営トップがわざわざホームページを隈なく閲覧することはないので、自社が取引する企業の誰がホームページを訪問するか把握しその方をターゲットにすることが大事になります。
自社のターゲットの悩みは何?
例えばその購買担当者はどのような悩みや課題を抱えているか、もしくはどのようなことを質問したがっているか、具体的に想像しその課題や疑問に先回りして答えを可能な限り用意することがポイントになります。
とは言え、もしあなたがWeb担当者でなかなか直接お客さまと接する機会がない場合もあるでしょう。もしかするとターゲットとなるユーザの悩みなどを具体的に理解することが難しいといったことがあるかもしれません。
そういった場合は、ぜひ他のスタッフの力を借りましょう。
現場でお客さまと実際に接しているスタッフを巻き込む
実際にお客さまと接する営業スタッフなどに協力を得ることが大事です。そういった現場で常にお客さまと接しているスタッフの方々はさまざまな情報を持っているはずです。
お客さんから相談を受けたり、お客さん自身が意識せず何気ない会話の中で発した悩みや課題などもあるでしょう。特に営業の方々は、常にどうしたらお客さんの課題を解決できるのか?を考え、実行に移しているはずなので、お客さんの悩みや課題は何か?を一番良く把握しているはずです。
実際のお客さんの悩みや課題といった生の情報は絶好のブログのネタとなります。その情報をもとにブログを書き進めると、必然的に自社のターゲットの役に立つようなブログを作成することができるますし、同時にターゲットが検索でしようするようなキーワードが散りばめられていくことになります。つまり検索キーワードの種まきをしている状態になり、記事が検索で引っかかりやすくなりことを意味しています。
常に現場の方から情報を得るようにし、記事のネタとしてストックしておくことを心がけておくとよいでしょう。
よくある質問をネタにする
それでも今ひとつどうすれば良いかわからないという場合、営業がお客さんから直接よく受ける質問をネタにすると良いでしょう。とにかくよく受ける質問があれば、その裏では同じような悩みや疑問を持った方が多くいることを意味しています。
もしお客さまと一番接する現場のスタッフが忙しくてなかなか情報を得ることができなかったり、そもそも非協力的でネタを集められないような場合、電話やメールも含め自社に寄せられる質問を集めることも選択肢の一つです。
これらの質問に答えるようにブログを書くだけでも、課題解決に繋がる可能性がありますし、自然と検索のキーワードが散りばめれることになります。例えばこの記事は「ブログ ターゲット 失敗例」ですが、このワードだけでなく、「ブログ ネタ 集め方」などでも引っかかりやすくなる可能性があるなど、似た悩みを持つ方々にとって有益なコンテンツになり得ます。
とにかくWeb担当者だからと自分一人で集める必要はありません。記事が止まってしまう一番の原因はネタ切れによるものです。ネタ切れにならないようネタを集めておくには、複数の頭を使った方が良いに決まっています。ぜひ遠慮せず周りのスタッフにも協力してもらい、一人で抱え込まないようにしましょう。
まとめ
- やみくもに流入数を増やすことだけに注力しない
- 自社が提供するサービスを購入する、購入しているユーザに向けてブログを書く
- そのために周りのスタッフにも協力してもらう
上記のようなことを抑えながらブログを書くと、自社のビジネスに繋がるような価値あるブログへと進化するでしょう。当社もブログを書き続けますので一緒に頑張りましょう!
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