ホームページ作成時の発注側のプロジェクト体制 | 発注側の理想のプロジェクト体制について現場目線で解説
ホームページを新規で作成することになった、既存サイトを一からフルリニューアルすることになった。そのような時、発注側としてホームページ作成プロジェクトの社内体制はどうすればいいのだろうか?と疑問を持つWeb担当者や経営者の方は少なくないと思います。
この記事では企業規模〜50名程度のWeb担当者、企業規模〜20名程度の経営者に向けて、ホームページ作成時の社内体制をどうすべきか?という疑問にお応えすべく、当社がお手伝いしてきたクライアントの事例や、今まで数多くのクライアントのお手伝いをしてきた中で感じる理想の体制について、当社なりの考えをお伝えしていきたいと思います。
[ 目次 ]
ホームページ作成時の発注側のプロジェクト体制はどうすればいいのか?という疑問や不安が発生する理由
企業規模が大きくサービスごとに専用のホームページを用意してあるなど、ホームページを作る機会が多く、作成に慣れている企業であればこのような疑問を持つことはないと思います。
しかし、企業規模が大きくない会社は、ホームページはコーポレートサイト1つ、新しくホームページを作る機会は数年に1度といったところがほとんどです。複数のサービスを提供しサービスごとに専門サイトがあるなど、複数サイトを運用している企業は多くはありません。
そうなると、小規模企業のWeb担当者や経営者が、「プロジェクトの社内体制はどうすればいいのか?」という疑問を持つのは、ある意味当然です。実際に当社でも、同様の質問を受けたことが何度かあります。
恐らくですが、この記事に辿り着いたあなたの会社も後者のようにコーポレートサイトだけがあり、それを今まで運用してきたという状況ではないでしょうか。
コーポレートサイト1つだけという場合、そうそう頻繁にフルリニューアルすることはありません。早い企業では3年ほどでリニューアルする場合もありますが、多くの場合は5年以上、長い場合は10年経ってリニューアルする、といった企業もあります。
そうなると、ホームページを作成する機会は非常に限られてきます。さらに、既存のホームページを作った時の担当者が退職している場合、誰かが代わりに担当せざるをえなくなり、初めてホームページ作成のプロジェクトリーダーを任された、なんて状況もあるでしょう。
そうなれば、なおさら「自社のプロジェクトの体制はどうすればいいのだろう?」といった疑問や不安を抱えるのは当然です。もし、この記事を読んでいるあなたが不安を抱えていたとしても、みなさん同じような状況なので、その点は安心いただきたいと思います。
当社がお手伝いしてきたホームページ作成時の発注側のプロジェクト体制についての事例
この章では、当社がこれまでお手伝いした制作時の発注側のプロジェクト体制がどのようなものだったのか、実際の事例について書き進めますので、参考にしてただければと思います。
遺品整理のロードさまのプロジェクト体制の例
ロードさま( https://www.memento-road.com/ )は社員数10名以下。約半年に及ぶ間のプロジェクトの体制はスタッフさん1名と代表の2名体制でした。プロジェクト開始前は3名体制でという話もありましたが、結局プロジェクト期間中を通しずっと2名体制で進めました。
当社との連絡をやり取りする窓口はスタッフさんが担当し、確認事項などはスタッフさんが代表に都度確認し、その内容をフィードバックいただくというのが基本的な流れでした。ただし、重要だと判断した内容の連絡の際には、メールの宛先に代表もccで入れて情報を共有するなど、実際には臨機応援にしていました。
実際にホームページの実制作が始まる前の戦略・設計の段階の打ち合わせ(3回程度)は、必ず代表も参加いただくようにお願いしましたが、デザインやページ作成など実制作がスタートしてからは、主にスタッフさんとのやり取りのみになりました。
システム会社のディスタント・ビューさまのプロジェクト体制の例
ディスタント・ビューさま( https://www.distant-view.co.jp/ )はグループ全体で社員数が約40名。ディスタント・ビューとDistantViewPlus2つのホームページのフルリニューアルを行いましたが、プロジェクト体制は総務人事の執行役員の方と代表の2名でした。
窓口は総務人事の執行役員の方が担当し、確認事項などは執行役員の方がその場で判断したり、代表に確認し内容をフィードバックいただくというのが流れでした。執行役員という立場だったため、当社が代表に直接ご連絡することはありませんでした。
ロードさんと同じく、実際にホームページの実制作が始まる前の戦略・設計の段階の打ち合わせ(3回程度)は、必ず代表も参加いただくようにお願いしましたが、デザインやページ作成など実制作がスタートしてからは、主に執行役員の方とのやり取りのみになりました。
臓器移植を支援する非営利団体のトリオ・ジャパンさまのプロジェクト体制の例
トリオ・ジャパンさま( https://www.trio-japan.jp/ )は非営利団体で、活動している中心メンバーは他に仕事を持ちつつ、トリオ・ジャパンとしての活動を行う二足の草鞋を履いています。その上、フルリニューアル時にメインで活動されていたのは2名という状況でした。
メンバーはそれぞれ自分の仕事があるため、限られた時間でプロジェクトを進める必要があること、またトリオ・ジャパン専任のメンバーではないことから、負荷が偏らないよう特定の窓口を作らず、メールでのやり取りの際は必ず2名に連絡するといった状況でした。
そのようなことからプロジェクトメンバーは2名で、とくに窓口担当がいるわけではなく、すべての情報は2名ともの共有しながら進めていきました。
部品検査メーカーのANALYZERさまのプロジェクト体制の例
ANALYZERさま( https://www.sigma-ls.jp/ )は社員数が約15名。約5ヶ月に及ぶ間のプロジェクトの体制はスタッフさん2名と代表の3名体制でした。2名のスタッフさんはマネージャーの肩書きを持った方と、マネージャーをサポートする女性スタッフさんでした。
窓口はマネージャーの方が担当していましたが、メール連絡ではccに代表と女性スタッフさんも入り、基本的にプロジェクト期間中は全ての情報を共有する形で進行しました。
公開直前の最後のチェックや修正事項の段階では、代表はメールから外れることもありましたが、ほぼ全ての情報を共有していました。
確認事項などはマネージャーの方が代表に確認し、その内容をフィードバックいただくというのが基本的な流れでしたが、ccで情報は共有していたため、フィードバックが滞ることもほとんどなく、非常にスムーズに進みました。
当社が考える発注側の理想のプロジェクト体制
企業規模が大きくない場合、ホームページのプロジェクトに充てられるスタッフの人数には限りがあると思います。そのようなことから、当社が今までさまざまなプロジェクトを進めてきた中での理想のプロジェクトの人数としては、3名が良いと考えています。
その場で判断ができるポジションの方、窓口となる中心メンバー、中心メンバーをサポートするスタッフの3名です。判断ができる方とは、必ずしも代表ではなくて良いと考えています。
ただし、役員の方や部長などのそれなりのポジションで、最終的には代表の確認が必要となる内容があったとしても、基本的にその場である程度の判断を下せることが条件になります。
発注側のプロジェクト体制の注意点
Web制作会社との連絡の窓口は1人に絞る
実際に当社が関わった過去のプロジェクトですが、各担当者さんからバラバラに連絡をいただくものも中にはありました。正直に言うと、窓口は1本にしていただきたいのが本音ですが、それでも対応自体は可能です。
それよりも問題なのは、各担当者が自分の範囲内の要望をそれぞれ伝えるので、クライアント内で情報が共有できていないことが発生することです。情報の統一性が保たれなくなったり、ホームページ全体で見た時、情報に相違がでてくるなどが発生し、その都度、当社側が確認するといったことが発生しました。
このようなことから、社内で必ず情報をまとめる必要がありますし、その方がWeb制作会社との連絡窓口になることが良いと考えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。プロジェクト体制にルールがある訳ではありません。そのようなことから、これまで200以上のプロジェクトに関わってきた当社の視点で、発注側のプロジェクト体制についてお伝えしてきました。
何となくメンバーを選ぶのではなく、それぞれのメンバーの役割をしっかり決めメンバーを選定していく。このような考え方が大事なのではないかと思います。この記事がホームページ作成時の発注側としてのプロジェクト体制作りにおいて、少しでもヒントになれば幸いです。
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