ホームページの運用目的を見失っていないか?
ホームページのリニューアルにあたり、普段から頻繁に更新している部分にCMS(コンテンツ・マネジメント・システムの略で、専門知識がない方でもホームページの更新・修正などを行うことができる仕組み)を導入し社内の業務効率化を図っていくという視点を持つことは非常に良いことだと思います。
ざっくりとメリットをあげると下記のようなことがあります。
[ 目次 ]
1. Webの専門知識がない方でも更新が行える
CMSを導入していない場合は、ホームページを構成するhtmlやcssといったものを理解しなければなりません。全て理解していなくても更新する部分のみ最低限理解していれば更新することも可能ですが、それでも基本的な理解が必要です。
つまり専門知識が必要ということを意味し、知識がない方にとってはハードルが高いものとなります。しかし、CMSを導入すれば管理画面からの作業が可能となり、指定の枠に文字を打ったり、指定の方法で画像をアップロードすれば画像を表示できるようになるなど、簡単に更新できるようになります。
このブログもWordpressというCMSを導入し管理画面から記事を作成しています。この記事自体はWordに文字を打てる方なら、専門知識がなくても誰でも更新できる仕組みです。
2. スピーディーに更新・改善が行える
管理画面からログインして作業するだけですので、htmlやcssを書き換えてサーバへアップロードするなどの必要もないですし、素早く更新が行うことが可能です。
また先程も述べましたが、専門知識がない方でも操作できまることから社内で更新ができる方が増え、その点でも素早い更新ができると言えます。
3. 人為的なミスを減らすことができる
管理画面では指定の場所に文字を打ったり画像をアップロードするだけですので、レイアウトが崩れる、表示されないなど、人為的なミスは限りなく起こりにくい環境を作ることが可能です。
CMSを入れていない場合の更新は、htmlなどを直接編集することになりますので意図せずタグといわれる記号のようなものを間違って消してしまったりと、、レイアウトが大きく崩れてしまうなど不具合が起こり得ます。
4. 外部に更新を委託していた場合は、毎月のランニングコストを削減できる
もし現在CMSを導入せずホームページを制作してくれたWeb制作会社など外部企業へ更新を依頼している場合、CMSを導入することで初期コストは発生しますが更新自体は内製化できますので、更新にかかっていた毎月のランニングコストはそのまま削減することができます。
5. ネット環境があればどこからでも更新できる
PCやスマホの端末内にCMSの管理画面があるわけでなくネット上に存在しているため、ネット環境があればどこからでも管理画面へアクセスすることができ更新することが可能です。つまり、外出先でスマホから更新することも可能です。
もちろん、
・操作方法に慣れる必要あある(すぐ慣れる方が大半です)
・ある程度デザインが制限される
などのデメリットもありますが、これらはメリットを上回るほどのデメリットではなく、導入を見送るに値するものではないと考えています。
このようにCMSのメリットを書きましたが、この1年で実際にある経験をしたことによりCMS導入に対する考え方は、非常に大事だということを改めて感じています。今日はその導入に際して抑えておくべき考え方を共有したいと思います。
ホームページ運用の効率化は大事
現在はホームページの運用は必須です。企業の規模に関係なく自ら発信していかなければなりません。いくら最先端の技術を駆使し、洗礼されたデザインのホームページを作ってもそのまま放置されたホームページは、一時的に評判を集め多くのユーザが訪問するホームページであっても、徐々にユーザが離れていき、結果Googleなどの検索エンジンからも高評価を受けることはありません。
つまり検索結果に上位に食い込むことができず認知されないホームページとなってしまいますし、ユーザがファンになるようなこと可能性は限りなく低いと言えるでしょう。
ホームページの運用という視点で考えた時に、規模が大きければ大きいほど、運営側の負担は大きくなるので、大規模なホームページを運用している企業は運用時における作業負担についてはしっかり考える必要があります。
新規でホームページを作る、またはリニューアルをした後は、通常最低でも3年間、一般的なホームページでは5年以上使い続けることになります。
つまり、少しでも運用業務の効率化が図ることができれば、長い目で見た時には大幅な業務の効率化が図れるので、ユーザが閲覧するページだけでなく、表舞台に出てこない裏側の仕組みの設計も非常に重要なものなってくることは間違いありません。
ホームページの本質は何か?を常に忘れない
しかし、これはあくまでも自社内の効率化の問題の話で、ユーザには正直関係がありません。ということは、ユーザが閲覧するページと裏側の仕組みのどちらを優先すべきかという部分については、一目瞭然です。当然ユーザを優先すべきです。
もちろん現実にはどちらか一方ということはなく、バランスを取りながら設計・構築していくものですが、どちらかという少し極端な言い方をした場合には優先させるべきはユーザということをまずは抑えておく必要があります。
情報を求めるユーザに対して役に立つ情報を発信し、発信するだけでなく情報を適切にグルーピング、さらにその欲しい情報までの導線をしっかり整備してユーザが極力ストレスを感じることなく、必要な情報を得る仕組みを作ること、つまりユーザのことをとことんまで考え抜くことがホームページの本質となるわけです。
実際にあった話
当社が直接担当した仕事ではないですが、ある公的機関の大規模のリニューアルにおいて、上記のようなことを改めて考えさせられる体験をしました。
その公的機関のリニューアルは大規模であるが故、既存のホームページの更新にかなりの労力がかかってしまっており、その上CMSがしっかり機能せず、ごく一部の専任の担当者に負荷がかかっているという状況がありました。
このような状況を解消すべく、新たにCMSを組み込みしっかり機能させることで業務の効率化を図り、さらにはWebの専門知識を持たない担当者でも操作が出来るようにすることで業務負荷を分散させることがご要望としてありました。
しかし、リニューアルが完了すると、社内の業務の効率化は進んだものの一番大切なユーザが閲覧するページ側の設計が十分でなく、見づらい、使いづらいといった、本来一番大事にされるべき部分が蔑ろにされてしまうということが発生してしまいました。
なぜこんなことが起こるのか?
ここからは推測の部分になってしまいますが、業務効率化を目的にしたため、発注を依頼するにあたりシステムに強いかどうかを選定基準にした結果、システムは得意だがマーケティングやサイト設計、デザイン・制作には強くないシステム寄りの企業へ発注してしまったということが考えられます。
もしくは、受注した企業は非常に実績もノウハウも優れている制作会社だったが、発注側の企業が長年築いてきた組織風土が現れてしまったということも考えられます。つまり、あらゆる仕事において矢印がユーザなど外側に向いているのではなく、常に自社に向いている風土であったということです。
自社の労力が軽減されるのか、自社のコストを下げられるのか、「自社にとって○○、自社にとって○○、自社にとって○○…」のように外に目が向いていないのが、たまたまホームページにも現れてしまっただけというように考えています。
いずれにしても、ユーザのことが第一になっていないことが原因だと考えられます。
順番を間違えない
これは決してシステムそのものの導入を否定しているのではありません。逆に必要であれば積極的に導入すべきものであると考えています。
しかしあくまでも、ホームページを訪問してくれたユーザの知りたい、問い合せしたいといった欲求に対し、極力ストレスを与えないホームページを用意し、心地よい体験をしてもらうことが第一であることを忘れてはなりません。
その上でユーザには見えない自社の効率化を考えるのが、正しい思考の順番だと私たちは考えます。自社のことを優先しユーザをおざなりにした場合、ユーザは敏感に感じ取ります。結果的にユーザに指示されず会社全体として見た場合、デメリットが大きくなるという視点を持つことが重要です。
現場の担当者の最優先にすることは、絶対に避けたいものです。
まとめ
常にベクトルをユーザに向けることが、クライアント自身また制作をお手伝いするWeb制作会社には求められます。クライアントの方で気付かずに自社のことばかりに目が行ってしまっている場合は、Web制作会社はユーザの方へ目を向けさせるようしっかりクライアントへ伝えていく責任があります。
本来運用の目的は、自社の考えを発信することを通して、ユーザにもっと自社のことを認知してもらうことだったり、興味をもってもらい問い合わせのアクションを取ってもらうことが目的のはずです。その目的の中で運用に関する効率化という手段に対する改善を考えていくことが本来の姿です。
ここを履き違えることなくしっかり抑えた上で、ホームページのリニューアルや改善を進めていきたいものですね。
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