だからWeb制作会社選びに失敗する | 絶対に避けるべき2つのWeb制作会社の選び方を解説
ホームページを初めて作成する、もしくは既存のホームページを新しくフルリニューアルすることになった。ホームページは決して安い買い物ではないので、このような場面において「失敗は避けたい」という感情が備品の購入などに比べ、はるかに強くなると思います。
今回はホームページ作成についての話ですが、ホームページの作成において「何が良い選択か?」は、自社の置かれている状況、現在の課題、望む未来によって変わってくるものですが、「失敗する選び方」については、ある共通点があります。
そこでこの記事では、ホームページを外部のWeb制作会社に依頼する際、絶対に避けるべきWeb制作会社の選び方について解説していきます。 企業規模〜50名程度のWebマーケターやWeb担当者、企業規模〜20名程度の経営者に向けた記事となります。
[ 目次 ]
デザインが良い(好み)だけでWeb制作会社を選ぶ
ここからなぜデザインだけでWeb制作会社を選ぶと失敗するのか、その理由について一緒に考えていきましょう。
本当にデザインはホームページにとって最重要か考える
これは特にB to B向けの商材を扱っている企業のホームページに言えることですが、ホームページを訪問するユーザーはホームページを見たいから訪問するのではなく、何か自社に課題があり、その課題を解決するためにホームページを訪れているはずです。
そのため重要なのは、その自社の課題を解決できそうな商材(企業)かどうか、見極めるための十分なコンテンツが用意されているかどうかが最重要なはずです。
B to Bでは何となく良さそうだから購入するといった行動は基本的に起こることはありません。費用対効果が見込めるものか慎重に判断されますし、また購入までのプロセスにおいても、担当者の一存で決まるわけではなく、上司や役員といった複数の人が関わることが多いはずです。
そのようなことを踏まえると、デザインが最上位の優先順位でないことは明白です。冷静になると理解できるようなことも、いざ自社サイトのこととなると、見えづらくなるので注意が必要です。
デザインの重要度は業界、扱っている商材によって異なる
デザインは最上位ではないとお伝えしましたが、だからといってデザインが重要でないとは全く考えていません。先ほどはB to B向け商材の話をしましたが、B to C 特にアパレル業界やエンターテイメント業界はデザインの重要度は増すと考えています。
なぜなら、ユーザーはそのブランドの世界観に興味・関心があり、「その世界観に触れたくてホームページを訪れている」ユーザーが一定数いると考えられます。そのためブランドの世界観をどれだけ表現できるか?つまり、デザインの重要度は必然的に高くなります。
B to Bでも、例えばデザイン会社と税理士事務所ではデザインの重要度は変わってくるでしょうし、B to Cでも、エンターテインメント企業と介護サービスを提供している企業でもデザインの重要度は変わってくるでしょう。ホームページのデザインはB to BかB to C、また扱っている商材によって重要度が変わってきます。
ここでB to Cでデザインの重要度が高い企業を思い浮かべて欲しいのですが、そういった企業だとしてもホームページ作成において、デザインが最上位に来るのでしょうか?
例えばアパレルブランドが展開するECサイトの場合、世界観を表現するためにビジュアルとしてのデザインの重要度は高いと言えますが、商品カテゴリの絞り込み機能が不十分で、多数の商品が展開している一覧ページから希望する商品を探す必要がある、商品詳細ページではカラーやサイズのバリエーションが分からない、欲しい情報が見当たらない、どこにあるか分かりづらいといった場合、かなり大きなストレスを感じるはずです。
このようにデザインの重要度が高いと思われるホームページでも、デザインよりもコンテンツ自体、機能としての使いやすさ、また情報の見やすさ、分かりやすさ、遷移のしやすさといった面も非常に重要になります。
デザインよりコンテンツの中身の方が重要と言える理由
B to BでもB to Cでも、またどのような商材を扱っていようとも、コンテンツの中身が薄っぺらい、ターゲットユーザーが求めている情報が用意されていなければ、購入に至ることはないでしょう。いくら世界観が重視されるようなホームページだったとしてもです。
そのようなことを考えると、一番重視されるべきものは中身であるコンテンツ自身であり、デザインではないことが理解いただけるのではないでしょうか?
もちろん、コンテンツ以外にも、ウェブサイトの構造やデザイン、ユーザビリティなども重要です。しかし、それらの要素を活かすためには、やはり質の高いコンテンツが不可欠です。
また、そもそもデザインの良し悪しは訪問してもらわないと判断できません。ホームページへのアクセス経路は様々ありますが、その中でも重要な検索で引っかかってアクセスしてもらう自然検索は特に重要です。
検索で引っかかるようにするには、コンテンツが何より重要です。その中でも多くの部分を占める文章は、より重要です。自社のターゲットユーザーが求めるであろうコンテンツを用意することが、結果的に検索結果に引っかかりやすくなります。単にホームページ自体だけでなく、集客などホームページを含めた全体像を見るとコンテンツの重要性がより理解しやすくなるのではないかと思います。
デザインだけでコンバージョンは取れるのか?
ここまでデザインを最重要視することのリスクについて書いてきましたが、企業にとって一番重要なのはお問い合わせなどのコンバージョン(Webサイト上のゴール)です。あなたが運営側でなく利用者側のユーザーとして考えた時、ホームページのデザインの良し悪しだけでお問い合わせしたり、商材を購入することはありますでしょうか?恐らく多くの人の答えは「No」だと思います。
ここにデザインだけで決めてしまう、大きなリスクが潜んでいます。つまり見た目は良いが、成果に繋がらないホームページが出来上がってしまい、後で後悔することになります。当社では、クライアントが属する業界において、見やすく使いやすいを前提として、デザインとしては平均より上を目指すというスタンスでOKだと考えています。
ここまでデザインだけで判断することのリスクについて解説してきましたが、誤解を招かないよう改めえお伝えすると、「デザインは重要でない」と言っているわけではありません。
人間と同じように第一印象はやはり重要です。そのためにもデザインは重要な役割を果たすのは間違いありません。しかし、ことホームページにおいては、より重要なものがあることを知っていただきたく、ここまで説明してきたことをご理解いただければと思います。
ホームページの制作費用が安いだけでWeb制作会社を選ぶ
制作費用が安いのには理由があります。まず、その点をしっかり理解することが重要です。必ず当てはまるとは言い切れませんが、おおよそ下記のようなことが理由である場合が多いです。
- デザインテンプレートを使う
- 文章や写真などは全て依頼側に用意してもらう
- ユーザーが見える部分だけに注力しSEO対策には注力しない
- メールや電話がメインツールでやり取りは最低限
- 自社のスキル・ノウハウに自信がない
これが全てではないですし、上記に挙げた項目が必ず当てはまるわけではない可能性はありますが、知っておいて損はないと思いますので、それぞれについて詳しく解説していきます。
文章や写真などは全て依頼側に用意してもらう
写真や文章は全て発注側が用意する。これはWeb制作会社としては非常に楽な制作方法です。発注側が用意したものをホームページに反映するだけですので、工数も少なくて済みます。
しかし、プロカメラマンと言わないまでも、光をどのように扱うかなどの撮影知識を持ち、ある程度の質を担保した写真を撮ることができるスタッフは普通はいません。
また、ターゲットユーザーに向けたコピーを書くようなことは普段あまり多くないと思います。そのような前提を踏まえると、発注側で素材を用意しそれを反映させるだけというのは、単にホームページを作るだけということと同じです。
安いということは、工数をどれだけ少なくするかとの戦いです。Web制作会社としては、作業範囲をできるだけ狭くする必要がでてきますので、どうしても「限りなくクライアント側でできることはクライアント側でやってね」といった対応になりがちです。
そもそも一緒に作っていく姿勢を持たない企業は論外だと当社は考えていますが、それに近い状況になりがちな安いホームページは、ターゲットユーザーを惹きつけ成果に繋がるホームページと言えそうでしょうか?
ユーザーが見える部分だけに注力しSEO対策には注力しない
ホームページ制作はSEO対策のことも十分に考える必要があります。ページタイトルやディスクリプション、ページにおける各見出しなどにキーワードを入れるのは当然ですが、コンテンツの内容についてもSEO対策を意識して行う必要があります。
しかし、安くするため工数を削減すことで、細かい部分にまで対応しない可能性があります。コンテンツの中身に関しても、クライアントからの原稿をそのまま流し込むということであれば、コンテンツの内容についてのSEO対策は不十分であると言えるでしょう。
それだけではなく、表示速度を高めるための施策や、内部リンクやページ階層などのクロール最適化なども考慮しなければなりませんが、そういった細かい部分まで対応してもらえない可能性が十分にあることを頭に入れる必要があります。
デザインテンプレートを使う
テンプレートが全て悪というわけではありませんが、企業によって扱っている商材、ターゲット顧客が違います。また企業風土や大切にしている価値観も当然違うはずです。その視点で考えれば、デザインが同じで良いはずがありません。
デザインテンプレートを使えば、一からデザインを作る必要はありませんので、その分コストを抑えられます。しかし、顧客のためのホームページとなるか?もっといえば成果に繋がるホームページになるか?と言えば難しいと言わざるを得ないでしょう。
ただし、提供商材に独自性があり、ターゲットユーザーにとって圧倒的な価値があるのであれば、デザインがテンプレートだろうが、古臭いものであろうが成果を出すことは可能です。
とは言っても、このように圧倒的な価値ある商材を持つことはどの企業でもできる訳ではありません。多くの企業は他社と違う価値ある商材がないからこそ、創意工夫しているはずですので、そういう点でいえば、制約が出てくるデザインテンプレートは成果に繋がりにくいと言えるでしょう。
メールや電話がメインツールでやり取りは最低限
やり取りについてもメールや電話、チャットツールでの対応が基本となり、対面はおろかオンラインMTGでさえも対応しない、もしくは最初のMTGのみの対応など、通常のホームページ制作より制限があることも考えられます。
メールや電話、チャットツールだけでも出来ないことはないでしょうが、こういった制限がある対応は、後々ボディーブローのように徐々にストレスが大きくなることが想定されるので注意が必要です。これも結局は工数をかけないWeb制作側の策と言えます。
自社のスキル・ノウハウに自信がない
スキル・ノウハウに自信がないため、安くしているといったこともあるでしょう。特に駆け出しのフリーランスの方は、そのような可能性が高いです。誤解のないようにお伝えしておきますが、フリーランスの方でも優秀な方はいますので、フリーランスの方が全てそうであるわけではありません。
スキルやノウハウ、実績を積み重ねれば、より多くの価値を提供できるようになるため、料金を上げていくことはありますので、フリーランスに限らずWeb制作会社でも、スキルやノウハウを考慮して料金を抑えているといったことがあるかもしれません。
しかし、Web制作会社の場合は、自信がないから安くしているというよりは、戦略的にあえて安く提供しているところがほとんです。当然工数をどれだけ抑えられるか?をセットで考えているため、今まで説明してきたように、さまざまな点で成果を出すには十分ではない、といったことが想定されることを考慮する必要があります。
この章では制作費用の「安さ」についてのリスクを解説してきましたが、必ずしも安いのが悪いわけではないと考えています。起業したてで手元資金に限りがある場合、初めてのホームページは安く作ることは選択肢の一つです。
この記事を書いているのは代表の砂子ですが、起業したてであれば私は安く作るかもしれません。その代わりホームページの評価を上げるため、必ずブログ機能はつけ、ターゲットユーザーに向けた情報発信は注力します。
各ページについても半年から年一回は見直し、内容を充実させていく。そしてある程度事業が軌道に乗ったら、本格的なホームページを作成するというステップを踏むかもしれません。安いことが一概に良くないということでなく、重要なのは自社が望む姿は何か?を自社の状況とともに十分に考えることが何より重要だと考えています。
「成果を出すホームページの作成を考えている場合は金額だけで判断してはならない」ということを理解いただければ、お伝えしたいことが伝わったと考えます。
番外編:多数決で決める
こんなことってありえるの?という事例を最後にご紹介します。これは当社が実際に経験した話です。
一部上場企業のとある部署の特設サイトの制作でお声がけいただきました。提案書をお送りし4社から2社に残ることができ、さらに追加で資料の提出を求められ、そちらも全力で作成し結果を待っていました。しかし、残念なことに最終的には競り負け、その制作の仕事を受注することができませんでした。
しかし、それから数ヶ月後に連絡があり「運営を手伝って欲しい」との依頼を受けました。詳しい事情をお伺いしたところ、プロジェクトがスタートしてから発注した制作会社との関係が悪くなり、何とか公開まではしたものの、その後連絡が取れなくなってしまったとのことでした。そのため、ホームページの運営が思うようにできず、当社へ相談いただいたという背景であることがわかりました。
さらに突っ込んで話を聞いていくと、選定の最終段階に当社が2社に残ったのはお伝えしたとおりですが、なんと最後は部署内の多数決で最終決定したことが分かりました。流石にこれを聞いた時は「こんなことがあるのか?」と驚愕しましたが、その基準も提出物、とくにラフデザインで決めたようで、非常に曖昧な基準で決定していました。
特にデザイン前のラフは仮の形なので、本来のデザインとはまるで違うものとなりますが、ここでもデザインを最重要視していたことが垣間見えますが、見事に失敗した例になります。
それにしても多数決で決める。これは最もやってはいけないことです。ホームページ作成の目的から考え、どの制作会社の提案が自社の課題が解決できそうか?もしくは望む未来に近づけると?といったことを責任者が決断する必要があるからです。
その後、実際に他社で作成されたホームページの運用を引き受けましたが、サイト構成が十分に考えれられていなかったり、一般ユーザーが見ることがない裏側の品質もひどいものでした。
このようにデザインなど一部分に固執して発注先を決めてしまうと、後々大きな後悔をすることになります。単に後悔するだけならまだましです。委託先を変更する労力や余計にかかる費用など、実際にビジネスとしての痛手を追うことになるので、本当に注意が必要です。
まとめ
今回の記事は多くのクライアント、見込み客と接してきて強く感じていることです。何かしら縁があり、この当社のホームページに辿り着いてくれたあなたの会社には、絶対に失敗して欲しくありません。そのような思いが根底にあり、失敗を回避する何らかのヒントになればという思いで書きました。
この記事がきっかけで、より良いホームページ作りに向かっていただけたら嬉しいです。
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