頭を柔らかくして、作業ではなく仕事することが大事
今日はスピンスレッドを立ち上げる前に働いていた会社で実際に体験した話を。長くお付き合いしていた、とある公的機関のクライアントなのだが、公的機関であるがゆえに仕事を外部に委託する際の規定が、一般の企業より厳しいルールがあった。この公的機関でいえば、委託費用が規定の金額を超えると強制的に入札になってしまうというものだった。
公的機関なので、その辺りのルールは一般企業より厳しくなってもやむを得ないと思う部分があるのだが、それでも現場の方の話を聞いているとおかしいと思うことが多々あり、時には入札によって現場が疲弊してしまうということもあるとも聞いた。
こういった話を聞けたのも長くお付き合いさせていただき、担当部署の方と信頼関係を築けていたからに他ならないが、実はこの話を聞くことができたのは、新規プロジェクトが発足しそのホームページの立ち上げの話をいただいていたから。長くお付き合いしていた部署とは信頼を築けていたので、隣に立ち上げる新しい部署のホームページの話を紹介してくれたのだ。
お話を詳しく聞いていると、入札はホームページ以外にも様々の仕事で他の部署を含め何度も見てきたが、この公的機関では入札参加した企業のプレゼンや資料の内容はほとんど考慮されず、最終的には金額のみで判断され成果物が安かろう悪かろうという結果になったり、最悪のケースでは委託したプロジェクトが動き出すと、受注した企業が実際には仕事に対応できずトラブルになり、本来の業務ではなく委託先企業とのやり取りに時間を割かれ、現場がどんどん疲弊するケースもあったようだった。
さらには、入札を行うための仕様書作成のためだけに、コンサル会社を入れたこと。仕様書作成は本来入札を依頼する部署が作成するが、部署が作成する仕様書ではなかなか入札を取り纏める事務局が首を立てに振らず入札が進まないために、泣く泣く仕様書作成のためだけにコンサル会社に依頼したとのこと。
このような経緯があり、話をいただいた新しい部署の立ち上げに伴うホームページ制作の話は、入札を避けるべく部署単独で決済できる費用内でホームページを作成する方向で話を進めていたのだが、その途中で委託は金額に関わらず全て入札を行う規定へと変更に。その時点で、それまでの打ち合わせが泡と消え、新しい部署の担当者の苦労はご想像にお任せします。。。 結果としては、事務局と揉めに揉め全く話が進まないので、外部に委託するのを諦め組織の中にいる多少Webに知識がある方に手伝ってもらい制作することに。
これって本末転倒ではないだろうか?
現場はしっかりしたホームページを作りたいという意志があったが、多少知識があるとはいえ、結果的に素人に作ってもらうということになってしまった。
確かに不正が働かないよう未然に防ぐ仕組みは必要だ。しかし、この時の何でもかんでも入札を通すという規定変更は、何かあった時に責任を逃れるための布石を打っているだけにしか感じなかった。もちろん、事務局の言い分も多分にあるだろう。しかし、現場の足を引っ張ることではなく、本来はサポートする立場のはずだ。
その目的を見失い、硬直した思考一辺倒で自らを守るだけに見えてしまう業務は、今までの延長線上で業務をしているだけで到底仕事をしていると言えない。それは作業だ。現場の意見を吸い上げつつ、頭を使い今までとは違う工夫をし、不正が働かない仕組みを作り上げて運用する。これが本来あるべき仕事だと思う。
入札を行うのであれば費用はもちろん、その他の項目も入れて総合的に判断すれば良い。ホームページであれば、以下のような項目が当てはまるだろう
- プロジェクトの目的に沿ったホームページの企画・構成がなされているか
- CMSの機能性は満たされているか
- デザイン性は想定されるユーザ層に合ったものか
- スマートフォンにしっかり対応しているか
- 過去の実績
- 制作費、運用費用 など
費用が最も重要なのであれば評価点の配分を多くすれば良いと思うし、現場の意見も吸い上げて新しい評価基準を作成するなど、今までがこうだったからと頭でっかちにならず、今までと違う工夫をして運用する。こういったことが本来のあるべき仕事なのではないだろうか。
たまたま実際に体験した公的機関の例を出したが、全ての組織にも置き換えられることだと思う。本来の目的を見失い作業をするのか、目的を見据えて未来をつくり出す仕事をするのか。この違いは短期的にはそれ程大きな違いとなって表れないかもしれないが、長期的に見た時には間違いなく大きな違いを生みだし、強い組織になる。当たり前だが、スピンスレッドは後者を選んでいく。
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